撮影◉チャン・ソンヨン |
チェ・ギュソクは、もはや韓国を代表する漫画家の一人と言っていいでしょう。
彼の作品を原作としたTVドラマもすでに2本、制作されています。
以下は、2008年刊行時の『沸点』(原題『100℃』)原著にある著者紹介です。
1998年、ソウル文化社新人漫画公募展で金賞を受賞し、漫画界に彗星のように登場。いくつもの漫画賞をかっさらった。
写実的でありながらユーモアを失わない画力と、鋭敏な感覚で現実の裏側を暴くストーリー構成は、彼がもつ強力な武器だ。特有のブラックユーモアと優れた技術で、瞬く間に韓国の代表的な漫画家の座を獲得し、『恐竜ドゥリへの悲しいオマージュ』『湿地生態報告書』『大韓民国原住民』など、作品を発表するたびに読者と論壇の注目を集めている。
2003年にフランスのアングレム国際漫画フェスティバルに招待され、フランスのメディアに「卓抜した感受性をもつ漫画家」という評価を受けた。
2004年、ソウル国際漫画アニメーションフェスティバル短編賞、「今日の漫画」賞などを受賞し、『大韓民国原住民』で2008年大韓民国漫画大賞優秀賞を受賞した。
上の引用に出てくる『湿地生態報告書』(09年、単行本刊行時)は、共同生活を送る貧乏な大学生たちを主人公にした物語でドラマ化されました。『大韓民国原住民』(08年)は慶尚道の山深い村で生きてきたチェ・ギュソク自身の家族の歴史を描いた力作です。
『沸点』の後は、美大の漫画学科を目指す予備校生たちの苦い青春を描く『泣くには少し曖昧な』(10年)や、ブラックな寓話『今はない世界』(11年)と続きます。一昨年、ウェブ連載された『錐(きり)』(15年に単行本化)は大きな反響を呼び、ベストセラーになりました。スーパーマーケットの労働争議を描いた異色作ですが、昨年、同名でドラマ化され(アイドルグループ・スーパージュニアのイェソンも出演)、このドラマは2016年放送通信委員会放送大賞の社会文化部門優秀賞を受賞しています。
ところで今日、別件の打ち合わせでお会いした方が、なんと偶然にも祥明大学でチェ・ギュソクを指導した漫画学科の先生でした! 先生は「彼は韓国漫画界の宝ですよ」と力説していました。『沸点』以外の作品も、日本で翻訳出版される日が待たれます。
左が『泣くには少しあいまいな』、右が『大韓民国原住民』表紙 |