2016年8月24日水曜日

1987年韓国民主化闘争動画紹介【チェ・ギュソク『沸点』関連情報】

チェ・ギュソク『沸点』が世に出るきっかけをつくった韓国の「6月民主抗争継承事業会」が、876月の韓国民主化運動とその勝利の経緯を、17分ほどにまとめた動画を紹介します。


『沸点』を読まれた方なら韓国語が分からなくても内容は分かるし、読んでいない人でも、民主化デモが普通の人々の参加によって膨らんでいくさまを、迫力のある映像を通じて理解していただけると思います。
パク・ジョンチョルの拷問死。カトリック司祭団による真相の告発。「改憲論議を打ち切る」とチョンドファンが宣言した413護憲措置。民主憲法戦取(争取)国民運動本部の結成。催涙弾に当たって死亡した学生、イ・ハンヨル。
とくに、6月の民主化デモが学生から市民へと拡大していくさまは圧巻です。
クラクションを鳴らして走るバス。そのバスの中から白いスカーフをふって民主化の意思を示す女性。「民主戦取!独裁打倒!」のコールも聞き取れます。
明洞聖堂に立てこもった学生たちに、隣にある女子高の生徒たちが、誰が言い出すでもなく、弁当を差し入れたという話。聖堂の前の掲示板に現れた普通の会社員が書いた張り紙。
オフィスビルの上から舞い落ちるティッシュロール。デモへの支持をアピールする意味です。そのうちにサラリーマンたちは「ネクタイ部隊」として街頭に出てくる。学生デモは、市民のデモへと変わっていく。当時を振り返ってあるサラリーマンはこう語ります。「私たちのような平凡な生活者だって、社会を少しずつでも変えられるんだと自信をもった」。
「警察官だって大韓民国の国民です!」と呼びかけながら、戦闘警察(機動隊)隊員の胸に花を挿していくおじさん。当時の戦闘警察隊員は「とても恥ずかしかったです。みんな、心にトゲが刺さったような気持ちでした」と証言。
そして、軍部の降伏宣言。盧泰愚の629民主化宣言。
イ・ハンヨルの永訣式。民主化運動の中で命を落とした人々の名前を一人ひとり呼ぶ、ムン・イックァン牧師。
賃金引き上げなど、経済的な民主化を求めた877月の労働者大闘争。その後の大統領選では、金泳三と金大中の分裂によって、軍部出身の盧泰愚が勝利してしまいました。
876月抗争以降、民主化運動は南北統一、環境、平和、人権、フェミニズムといった課題へと拡散した、とナレーション。6月抗争は未完の革命であり、その意識をもつことが自由、平和、人権、民主化を実現する途だと、「事業会」の人は結んでいます。
グラフィック・ノベル『沸点』は、この動画に記録されている歴史的場面の背景にある、無数の人々のドラマを描き出した作品です。まだ読んでいない方はぜひ!

沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート